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【換気】高気密高断熱住宅で窓を開けるともったいないか

2023.05.08

高気密高断熱の住宅でも窓を開ける意味

家の窓を開ける

光熱費、省エネのことを考えて、高気密高断熱の家を建てた。
いざ住み始めると、真夏や真冬にはエアコンがよく効き、確かに快適です。
高気密高断熱の特性を活かす場合、「窓は開けるの?or開けないの?」という疑問が出てきます。

なぜこの疑問が生まれるのか。
通常、高気密高断熱住宅は、室内の温度を適温に保つため、空気の流出入を極力防ぐよう設計されています。気密性ですね。
せっかく気密性を上げて隙間からの空気の漏れ(漏気)を防いでいるのに、窓を開けることで空気が逃げ、適温が保てないという矛盾、窓の開閉について心配になるのはもっともです。

今回は
・換気の不十分で起こる生活習慣病
・高気密高断熱で窓を開けたらもったいないのか

このあたりについて説明していきます。

高気密高断熱住宅の換気の必要性

窓を開けて換気

窓を開ける理由

あなたが窓を開けるのはなぜでしょうか。
大別すれば、この二つになるかと思います。

・換気
・自然の風を感じる

結論を言えば、高気密高断熱の家でも、この二つの目的を「速く」「効率的に」行うためには、窓を開けた方がいいです。
「高気密高断熱の家」を建てる主な目的は、冒頭挙げたように温熱環境を軸とした快適性と経済性を両立させることにあります。

ここに、「換気」の要素は含まれていません。

換気のことだけで言えば、高気密高断熱の住宅は、室内に閉じこもった空気がこもりやすくなります。
そのままでは室内の空気質が悪化してしまい、健康被害を引き起こす可能性があります。
ということは、換気をせず快適な生活を送る、これはやはりできません。
特に高気密高断熱住宅では、換気への配慮はより重要とも言えます。

コロナ禍で副次的に浮き彫りになった換気が必要な理由

健康な空気環境を維持するために、換気は必要な動作です。

さて、換気とは何でしょうか。
一言でまとめると「空気質の改善」にありますが、少し具体的に分類してみます。

最新の高気密高断熱の家で、換気を重視する理由はいくつかあります。
シックハウス対策によりいわゆる24時間換気が義務付けられた後、現在優先度の高い順を考慮すると、このようになるでしょうか。

・家の呼吸…必要な空気(酸素)を給気し、汚れた空気(二酸化炭素など)を排気
・防塵…室内のホコリ、花粉、ハウスダストなどを排出
・脱臭…生活臭などの排出
・湿度調節…結露と乾燥防止
・室温調節

換気の不十分で起こる生活習慣病「二酸化炭素中毒」

一つ目の「家の呼吸」は、日常で気にする機会が少ないので盲点になりやすいポイントです。
しっかり睡眠時間をとっているのに倦怠感が抜けない。寝ている間に息苦しい。
これ、実は「二酸化炭素中毒」のせいかもしれません。
私たち人が生活する中で発生する二酸化炭素の濃度が上がると、いわゆる「二酸化炭素中毒」が起こります。
部屋の二酸化炭素濃度が一定の基準を超えると、集中力の低下・頭痛・目眩・疲労感など、快適なはずの家の中にいながら、しんどくなっていくわけです。

家の二酸化炭素濃度に伴う人体への影響

(画像:内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室より引用)

例えば、換気をしていない寝室で大人二人が寝た場合、基準値である1,000ppmを超え2,500ppmに近い数値が出ているといった記事を読みました。
換気を適切に稼働させていれば、基準値である1,000ppmを超えません。
在宅ワークが多かったり、小さいお子様がおられる家庭では、空気がこもらないよう考慮しておきたいですね。

ちなみに、コロナ禍を契機にマスクの着用が普及しましたが、二酸化炭素中毒の観点から見ると、口と鼻を覆うマスクの中の二酸化炭素濃度は5,000ppm前後になるそうです。
2023年2月10日、厚生労働省は「令和5年3月13日以降、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる」ことを公表しました。
次いで4月1日以降、文部科学省は「児童・生徒・学生や教職員には、マスクの着用を求めないことを基本とする」ようになったのは、こういった二酸化炭素中毒による数字上のデータも考慮されてのことかもしれません。

他に挙げた換気が必要な理由と合わせ、家の換気は、健康的で快適な生活を送るためには欠かせないと改めて感じます。

高気密高断熱住宅で換気効率を高めるための工夫

第三種換気

(画像:城東テクノHPより引用)

現在、住宅で最も一般的な換気方法はこの「第三種換気」です。
屋内の空気を換気扇で排出する方法で、これに該当する家がほとんどです。

前提として、換気手段には「自然換気」と「機械換気」の2つがあります。
(また空間としては「全体換気」と「局所換気」とあります。)
よく「換気システム」といわれますが、システムと聞くと全自動なニュアンスで受け取ってしまいがちですよね。
機械換気のシステムがついていても、窓を開けて換気するだけなら「自然換気」です。
反対に「機械換気システムなんてつけた覚えがない」という方も、換気扇などの機械を使って換気していれば「機械換気」となります。

自然換気では、窓やドア、通気口を開けて自然に空気が流れるようにします。
常時換気の場合、そよ風程度でも吸気と排気はできます。
しかし、無風時や天候、周囲の状況によっては十分な換気ができない場合がありますよね。
そこで換気扇などを回し、効率的に換気することになります。

窓の非効率的な換気例

窓の効率的な換気例

(画像:YKKap 窓がポイント! 住まいのじょうずな換気方法より引用)

高気密高断熱の住宅は空気がこもりやすいと書きましたが、気密性の高さは換気時の通気にはプラスに働きます。
漏気が少ない分、空気の通り道が確立しやすいので、効率よく吸排気が作用するのです。

その上で効率的な換気の工夫として、
・対面に配置する窓を開ける(風の入口と出口)
・高低差のある窓を開ける(対流を促す)
・熱・湿気・ニオイが多く発生する場所は局所的に換気する

などがあげられます。
換気が短時間で効率よくできれば、室内の温度の損失も極力抑えることに繋がります。
分かりやすい詳細はプロにお任せ…🔗詳しくはこちら(DAIKIN 上手な換気の方法)

「高気密高断熱住宅で窓を開けたらもったいないか」の答え

家と省エネイメージ

これまで書いてきたように、外気の温度・湿度が高い(もしくは低い)時に窓を開ければ、当然外気の影響により、快適性は損なわれます。
確かに温熱環境から見たエネルギー効率を考えると「もったいない」わけですが、楽しく生活していくには、全てを光熱費や温度に縛られてしまうのも考えものです。

省エネはもちろん大事ですが、やはり住む人のライフスタイルや価値観はそれ以上に大切です。
せっかく建てたお家、特に注文住宅は「家に自分たちを合わせる」のではなく、「自分たちに合った家」をマイホームと呼ぶために選んだと言えます。

高気密高断熱住宅での暮らしは、人間の感覚や自然を遮断することではありません。
本来、窓を開けるかどうかは、生活の中で換気の必要性を考慮して、判断するものです。
窓を開ける・開けないは常設されたルールで決める事ではなく、暮らしていく中で自然に決まっていくものだと思います。
窓を開ける開けないに係わらず、不必要な換気=過換気になっているのであれば、これはもう完全にもったいないと言っていいでしょう。
換気の手段として「窓を開ける」を位置づけると、第一種換気等で適切な換気ができていれば、窓は開けなくてもよいということです。

高気密高断熱住宅の換気システムは第一種+全熱交換が最適か

さりとて、
「新鮮な空気は入れたい」
「でも快適な温度も保ちたい」
「花粉やPM2.5は除去したい」
「ニオイも取りたい」

こんなニーズも世にはあります。
それを叶えるのが、第一種換気の中でも「全熱交換」や「空気清浄」機能がついたシステムを採用することです。
機械換気システムの名にし負う、全てをオートマチックで行える換気方法になります。

例えば、家族の森では全館空調パッシブエアコンを採用しています。
以前のブログで紹介しましたが、こちらのシステムでも「全熱交換」や「空気清浄」機能がついた第一種換気システムを採用することができます。

全熱交換機器のメリット OMソーラーのPath詳細

(画像:OMソーラー パッシブエアコン「PAth」より引用)

建てる前でも後付けとしても、ご予算や換気計画に応じて「第一種換気」を採用することも検討してみるのもいいでしょう。
ただし、機械による自動的な「第一種換気」とは言え、フィルター清掃の必要はありますし、点検等も含めたコストが割高になるのも事実です。
家族の森は基本的に「完全注文住宅」なので、この辺りはお施主さまの考えに沿っての提案に留めています。
🔗興味のある方はこちらもどうぞ(城東テクノ 新築戸建ての家づくりガイド)
🔗(OMソーラー 全館空調と換気について開発責任者にズバズバ聞いてみました!)

自然を感じるために

たんぽぽの綿毛が風で飛ぶ

最後に「自然の風を感じるために窓を開ける」という人もいるでしょう。
自然の風や光、波の音のように、自然環境には時間的あるいは空間的に変化する「ゆらぎ」があります。
私たち人間はこれらの環境のゆらぎと共に生きてきた結果、規則的な変化よりも不規則性を心地よいと感じるように本能に組み込まれているそうです。
この自然的ゆらぎは「1/fゆらぎ」と言われ、この効果を利用した家電製品やセラピーも普及しています。

吉野材を家づくりに据える家族の森の家づくりでは、自然はやはり自然のままに採り入れたい要素です。
「1/fゆらぎ」は、まさに自然そのもの。

夏に窓を開ければもちろん暑いですが、自然なそよ風で涼をとったり、夕暮れにひぐらしの声を聞いたり、これら自然のゆらぎを感じながら生活するのも、新しい家を建てて感じられる時間の一粒になります。

これから高気密高断熱の家づくりをしようとする方には、生活をする前に「住み方」を理解をするのは実際には非常に難しいことです。
世界に一つだけの完全注文住宅では、住み方にも決まりはありません。
どんな家でも実際に生活をしてみて、「どうしたらより快適になるのか」「どうしたらより光熱費がかからないのか」、数値も見ながら試してみる。
そこに「窓を開けると、やっぱり空気が入れ替わって気持ちいいね」といった自分たちの感覚値も加味して、その時の裁量で最良を決めければよいのではと思います。

まとめ

・高気密高断熱の家では室内の温度が安定しているため、窓を開けなくても快適な温熱環境で過ごすことができる
・この性能設計だけでは室内に新鮮な空気が入りにくく、換気不足になることがある
・換気不足になると空気質が悪化し、結果的に快適な生活を損なう
・換気システムに合わせ、必要な換気は行う
・過換気、換気不足を避けながら総合的な快適さをつくりあげる
・自然を感じるためには、窓を開放することをためらわない

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地震に強く、環境や人には優しい「快適さNo.1」の家を建てています。

最高ブランド材である奈良の『吉野材』を軸に据えた、上質で長持ちする住まい。

断熱だけでなく、遮熱と共に夏冬の快適さを約束する『ウレタン遮熱工法』、省エネでありながら静かで体にやさしい全館空調「FCON・パッシブエアコン」を導入。

もちろん耐震等級3をクリアし、ZEHG2グレードといった次世代基準のエコな家も実現。

家族の森は伝統が支えてきた建材と最新技術を駆使しながら、「人が住む」ことに真摯な姿勢で家づくりをしています。

ぜひ一緒に、最高の住み心地を追求しましょう。

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