【断熱と遮熱の違い】新しい断熱基準に合わせた家づくりとは
2023.02.18
断熱と遮熱の違いとは
注文住宅を検討中の方は「遮熱と断熱の違い」で、どちらを優先すべきか悩まれる方も多いでしょう。
高断熱化が進む新しい時代の家づくりにおいて、この違いは知っておきたいところです。
断熱と遮熱の違いや効果、どちらを優先すべきかについて簡単に説明します。
家は常に熱の移動が起こっている
家の中で「夏暑い」「冬寒い」が起こるのは、当然外気温の影響を受けているから。
上図のように、熱の流入・流出が主たる原因です。
窓を中心として、家のあらゆる場所で熱移動が起こっていると、快適な室温から遠ざかってしまいます。
このことから、国はヒートショック対策や省エネ化の観点で家づくりの新基準・助成金を刷新し続けています。
(→🔗詳しく知りたい方はこちらも)
断熱について
さて「断熱」とは、簡潔に言えば「熱の移動量を減らす」ということ。
「断」の字を使いますが、完全にゼロにできるわけではありません。
家の壁「内部」と壁「外部」で、移動する熱の伝導を極力減らすという意味です。
例えば、コタツは内部のみが暖かいですよね。
これは、コタツ布団が暖かい空気を外に逃がさない「断熱」の役割を担っています。こたつでは布団が断熱材ということです。
布団が分厚ければそれだけ熱が内側に籠りやすく、「弱」のパワーで暖かさが持続します。
つまり、それだけ省エネにつながるわけですね。
こたつ布団が短かったり、めくれ上がっているとどうなるでしょう。
隙間から熱が逃げ、ぜんぜん暖かくないですよね。
ですので、一般的には裾が長く床と隙間ができないような布団を選びます。
断熱と、隙間をなくす「気密」がセットになるのは、このことを言っているのです。
断熱にとって高気密のメリットとは
高気密の家のメリットは、温度だけではありません。
隙間風がない分、省エネ性能が上がり、壁内での空気流入がなくなるので、壁内結露も防止できます。
他にも排ガスなど外気汚染物質の侵入が防止できたり、家からの音漏れも圧倒的に少なくなります。
(ハウスビルダーで高性能な気密数値C値は1.0以下を謳うところが多いですが、家族の森のC値は0.3~0.6)
話を戻すと、家の場合、何種類もの断熱材が存在し、また断熱を施す部位も様々。
工法や材だけのみの比較では一概に優劣は決まりにくく、組み合わせや施工品質、気密の数値等で差が生まれます。
家族の森でも全館空調を採用するか等で、最適な温熱環境を提供するための断熱材・工法の種類を実際に使い分けています。🔗最近の施工現場の様子
(左:基礎断熱 右:床断熱(写真は気密テープを貼る前) )
硬質発泡ウレタンについて
(硬質発泡ウレタン吹き付け断熱)
家族の森では「特許工法ウレタン遮熱」を採用しています。
硬質ウレタンとは、主にポリウレタン樹脂のスポンジ状の断熱材です。
小さな硬い泡を発泡させた「硬質ウレタンフォーム」は、熱を伝えにくい空気が閉じ込められた集合体。
この硬質ウレタンを、現場でモコモコとスプレーするように吹き付けるため、工事では窓や筋交い、柱や梁との間に隙間ができません。
ウレタン吹き付けも高い気密性の確保に一役買います。
隙間なく吹き付けることで湿気も遮断するため、壁内結露やカビの発生をおさえることもできます。
これにより、優れた断熱性が得られるというわけです。
(画像:ウィンゲート社commemorative_awardより)
開発元ウィンゲート社は、この特許工法により「東久邇宮記念賞(大衆ノーベル賞)」を受賞されています。
断熱だけではダメな理由
高い断熱性能の家はそれだけで室内の温度変化幅を一定に保つことができ、「通年で快適な室温」というメリットが生まれます。
わかりやすいのは冬で、外気温の変化を受けにくく室内が暖かいままなので、寒くなりにくいということですね。
夏も外気温が流入しにくいですが、先述した通り完全な遮断ではないので、いくら高断熱の家でも断熱材だけでは熱が室内に入ることは避けられません。
遮熱について
遮熱の方は文字からの連想通りです。「暑さの原因となる太陽光を遮る・反射する」という意味があります。
ですので、遮熱のメリットは夏にあります。
太陽光を反射したり吸収したりすることで、夏に涼しい住環境づくりに役立ちます。
(引用:「エマーソン サンシェード」出典:Amazon)
夏、車のフロントガラスにアルミのサンシェードをする方法がありますよね。
最近の車はフロントガラス自体に遮熱フィルムが入っていたりするので随分と改善されましたが、以前の車は夏場、熱すぎてハンドルを握ることすらできませんでした。
アルミサンシェードの有無で、車内の温度は劇的に変わります。
遮熱する場所
家族の森では、まず屋根や外壁にアルミ遮熱シートを貼り、外遮熱を行います。
さらに夏の暑い時期の日差しを防ぐため、西側の窓ガラスには遮熱対策を。
YKKapやLIXIL製のLow-E複層ガラス遮熱タイプを用い、冷房効率を高めています。(他方角の窓は断熱用のガラスで冬の寒さ対策)
これにより、内側のウレタン断熱材だけでは止められない太陽光の輻射熱を防ぐことができ、全体として理想的な断熱が可能となりました。
よく、お施主さまに夏の建築真っ只中の家を見学してもらいますが、外から一歩中に入ると「なんか涼しいですね」と言ってもらえるのは、この断熱と遮熱のコラボレーションが効いているおかげです。
断熱と遮熱どちらがいいか
ここまでで、断熱と遮熱の違いや効果はだいたいお分かりいただけたでしょうか。
そして、結局「断熱と遮熱、どちらがいいの?」という問いの答えとしては、
まず優先すべきは「断熱」、その上で「どっちもした方が圧倒的に快適」と言えます。
もちろん、北国なのか南国なのかでそれぞれ要不要も出てきますから、奈良の基準での答えです。
ですが、基本的には断熱はこれからの時代、やはり欠かせません。
快適な温度を維持するには、まず断熱材が必要です。
2022年、省エネ法の改正により、すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準「断熱等級4」の適合が義務付けられました。
断熱等級4は、これまでの最高等級です。
それが、改正後は最低等級(基準)にまで引き上げられ、ブログでも何度かあげているZEH・G1(等級5)~G3(等級7)のような新基準を設定、2025年以降はこれを下回る建物は新たに建てられなくなりました。
(YKK ap省エネ上位等級の新設で、家づくりが変わる。より引用)
こうした住宅政策の転換により、これからの家づくりは必然的に断熱のしっかり成された家になっていくでしょう。
そして、今後起こり得るのは「省エネ格差」。
断熱性が高い住宅とそうでない住宅では、快適性や健康リスクもさることながら、経済的な負担(ランニングコスト)で大きな差が生じます。
新築だけでなくリフォームでも、家全体の断熱から、窓やサッシを最新のものに変えるものまで、🔗家の温熱環境を快適に整えるよう国から大きく補助がでています。
これから注文住宅を検討している方もリフォームの方も、断熱性能を評価軸を持つことは基本となりますのでご留意ください。
合わせて、地域や環境により遮熱を希望するか検討するという流れでしょう。
まとめ
断熱と遮熱の違い、それぞれの効果について解説しました。
家族の森では「木の家」という癒しの要素+従来の工法一辺倒にならず、施主様にとってより良い家づくりの方法がないかを見つめ直してきました。
現状では特許工法を採択し断熱と遮熱のハイブリッドな工法で家づくりをしていますが、新時代の家づくりに向け、これからも快適性・コスト面・環境面でより良いものを探求し続けたいと考えています。
企業紹介動画
地震に強く、環境や人には優しい「快適さNo.1」の家を建てています。
最高ブランド材である奈良の『吉野材』を軸に据えた、上質で長持ちする住まい。
断熱だけでなく、遮熱と共に夏冬の快適さを約束する『ウレタン遮熱工法』、省エネでありながら静かで体にやさしい全館空調「F-CON・パッシブエアコン」を導入。
もちろん耐震等級3をクリアし、ZEHやG2グレードといった次世代基準のエコな家も実現。
家族の森は伝統が支えてきた建材と最新技術を駆使しながら、「人が住む」ことに真摯な姿勢で家づくりをしています。
ぜひ一緒に、最高の住み心地を追求しましょう。
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