【シューズクロークか靴箱か】種類・目的別で使い方を紹介
2023.05.22
打ち合わせが始まると『収納は多い方がいい』『使い勝手のいい収納スペースがほしい』と多くの方が希望をあげられます。
その中でも後回し・忘れがちになるのが、玄関収納です。
玄関収納、主に靴を中心とした収納スペースには、主に靴箱とシューズクロークがあります。
「シューズクローク?シューズインクローゼット?」
実はどちらも一緒です。今回はシューズクロークで統一します。
シューズクロークにもさまざまなタイプがありますが、家族の人数や使用用途に合わせて、最適な選択をしましょう。
玄関に必要な靴収納スペース
床に座る生活文化を持つ日本では、家の中を清潔に保つため、玄関で靴を脱ぐ習慣があります。
下足の概念がある日本において、家の玄関に靴を収納するためのスペースは不可欠。
かつては「靴箱」が主流でしたが、現代では生活様式も変わり、収納物が増えていきました。
靴箱以外の選択肢に、「シューズクローク」が生まれたのはこういった経緯からです。
どちらが便利なのか、家を建ててから後悔しないように、使い勝手や用途を検証しましょう。
靴箱かシューズクロークか
靴箱とシューズクロークは、靴を収納するための異なるスペース。
玄関の収納力が足りないと靴やベビーカー、傘等は出したままになり、結果玄関が狭く雑然とした状態になってしまいます。
玄関をスッキリ見せるためにも、以下にそれぞれの特徴や違いを少し比較してみます。
靴箱のメリット
・サイズがコンパクト
靴箱は一般的に小型であり、玄関や廊下など狭いスペースにも設置しやすい
・直接目に触れない
靴が直接視界に入らず、見た目の美しさを保てる
・価格が手頃
比較的手頃な価格帯の製品が多く、予算に合わせて選べる
使い方に特別な方法もないので、かえって悩む必要がないこともメリットと言えるかもしれません。
玄関ホール付近に、階段下の収納スペース等が確保できそうなら、玄関には大きなクロークは不要になります。
「アウトドア用品や車用品等は汚れるので外!」という方は、屋外に物置など収納スペースを設ければ大丈夫です。
以上の点を考慮すると、家族構成や予算の兼ね合いで、そこまで靴の収納力が必要でない場合は、靴箱が無難と言えます。
シューズクロークのメリット
・大容量の収納
広々としたスペースを提供し、多くの靴を収納することができる
・使い勝手の良さ
壁一面に収納物があるので、一覧性に優れる
・視覚的な魅力
デザイン性やインテリアに組み込むといったこだわりが反映でき、玄関空間に美しく調和できる
・多目的
靴以外も収納できる(衣類、アウトドア用品、ガーデン用品、ペット用品、季節用品等)
靴の収納量や使い勝手、間取りの視覚的魅力を重視する場合は、シューズクロークが適しています。
シューズクロークがない玄関では、靴は靴箱に、上着類はクローゼットに、ベビーカーは玄関の隅に、よく履く靴は玄関にそのまま…という流れになりますよね。
ですが、シューズクロークがあればそこで全て片付けが完結します。
大家族や靴の種類が多い方にはシューズクロークの利点は大きく、快適な収納と美しいデザインの両方を実現できるでしょう。
(縦写真:家族の森施工事例 横写真:🔗Panasonic クロークボックスより引用)
しかし、靴が多ければ必ずシューズクロークかと言えば、そうではありません。
左右の事例のように「クロークボックス」を設ければ解決する場合も。
クロークボックスがあれば、間取りを変えず、大開口の扉を活用してたくさんのものを収納できます。
直に土間置きしたいゴルフバッグや傘なども、置き場所に困りません。
棚可変型の商品も多様にあり、コート類をかけたりストック収納にしたりと、自由度も高いのでオススメです。
後述する換気に関して、脱臭ユニットをクローク内部に設置することができるのでニオイ対策も機能として組み込めます。
既製品の収納力が心許なければ、右の事例のように、大容量のクロークを造作することも可能です。
シューズクロークのタイプ
シューズクロークのタイプは大きく二つで、「ウォークスルー」と「ウォークイン」タイプがあります。
ウォークスルーは通路や廊下の一部に設置されるため、スペースの制約がありますが、動線重視の際に採用されます。
一方、ウォークインは独立したスペースを利用し、広い収納スペースと空間全体を使った収納オプションが利点になります。
ウォークイン
(家族の森施工事例)
玄関から続く形で土足のまま入れる収納空間が、ウォークインタイプのシューズクローク。
広いスペースを確保して、靴などの収納や整理に特化した設計です。
小部屋のようなテイストがあり、靴をあえて見せることでも美しさやデザイン性を引き立たせることができます。
また、照明や背景のアクセントカラーを取り入れることで、シューズクローク全体の雰囲気を演出することもできます。
ウォークスルー
(家族の森施工事例)
玄関から収納、さらに中へと通り抜けを可能にし、動線をスムーズ化した収納空間が、ウォークスルータイプのシューズクローク。
家の出入り時にシューズクロークという「収納部屋」を通るため、外出時は荷物を取り出しやすく、帰宅時も収納してすぐに中へと入れるのがポイントです。
必ず通るこの部屋に、外出時必要なものを集約しておくことで、忘れ物を防止したり取りに戻ったりのロスを低減できるのも大きなメリットです。
間取りの都合等、ウォークスルータイプはスペースの制約がある場合にも適しています。
またウォークイン同様、デザインや材料を他のインテリアと調和させることで、統一感のある空間を作り出すことができます。
シューズクローク設置上の注意点
玄関スペースが狭くなる
シューズクロークを設けるにあたり、間取り計画では靴箱よりも広いスペースが必要になります。
結果、玄関が狭くなってしまうことが考えられます。リビングを削ってまでクロークを採用することはあまりないでしょう。
便利だから作っておこうではなく、全体のバランスから設置を検討していきます。
通路幅を確保
内部に通路があるわけですが、機能としてクローゼットの広さを重視しすぎると、通路が狭くなります。
「通路=通り抜けるだけ」ではなく、その場での作業があります。
服の脱着、モノの入れ替え、日用品の整理など。
スペースがないとこういった収納内での身動きが取りづらくなるので、一定の通路幅を確保します。
扉・目隠しについて
「シューズクロークに扉は必要ですか?」
シューズクロークは靴やガーデニング用品、生活備品といった生活感の出る物を置くので、人目につかないようにしたいという人も多いでしょう。
だからといって、扉は絶対ではありません。
玄関とクロークの位置によっても視界が変わることに加え、開閉の一動作が増えるので、扉は不要という考え方もあります。
他にも、扉付きクロークの場合、十分な広さがなければ、扉付近の収納物とぶつかってしまうことがあります。
開ける度にぶつけたり物をよけたりは、面倒ですよね。
干渉をさけるためには、ロールスクリーンや暖簾、引き戸を採用する方法があります。
ロールスクリーンや暖簾であれば設置は簡単で、手軽に目隠しの機能を果たせます。
また引き戸は、開閉時にとる面積も小さく、収納物に干渉しにくい扉として機能します。
足元まできっちり隠し、独立したスペースを創出したい方にはオススメです。
普段は基本開けっ放しにし、来客時だけ閉めたりできる気楽さもあります。
お好みに合わせて設置を検討しましょう。
換気する
シューズクロークは靴をいくつも収納します。
そのため、梅雨の時期など、どうしてもニオイが気になります。
また、玄関に入ってモワッとした空気が立ち込めていると、あまり気分はよくありません。
湿気がこもりやすい空間なので、カビが生えることもあります。
そこで、ニオイ・カビ対策のために、窓や換気扇を付けて空気環境を整えましょう。(🔗換気についての記事はこちら)
その際、「自然換気」では不十分な可能性があります。
7
(参照:Panasonic 🔗天井埋込形ナノイー発生機「エアイー」より)
換気設備と合わせて便利なのが、空気洗浄機能がある天井埋込型の家電。
天井埋込なので省スペースになり、収納物に干渉しません。
悪臭の元となる雑菌を抑制して、高い脱臭効果を得られる商品も設置できます。(🔗家族の森での実験記事はこちら)
(参照:左 DAIKIN 🔗LOOP STREAMERより 右 🔗カルテックLED電球より)
その他、コンパクトに吊るすタイプ、壁掛けタイプ、LED電球一体型等、種類は多様にあります。
もちろん、よく売られている脱臭炭や除湿剤でも十分効果を発揮します。
どこまで自動化したいかのご要望に合わせ、設置を検討しましょう。
シューズクロークの間取りを成功させるポイント
注文時にはどうしても外観やリビングダイニングのイメージが先行し、後回しになりがちなシューズクロークの間取り。
成功のポイントは何かというと、やはりある程度「何を収納するか」を、忘れず設計段階で決めておくということです。
家族みんなが使いやすい収納スペースにするためも、予め話し合っておくこと(ファミリーの場合、話し合いに参加できない子供の都合も含め)が肝要です。
(ゴルフバックVSベビーカー、スーツケースVSストライダーなど…)
もちろん、この先の全てを見越すことはできませんし、人によって趣味のアイテムや家族構成は様々です。
ですので、「現段階で想定できること」と「後に可変できる仕様」を設計時に概ねカバーしておく。
使用目的がある程度決まれば、あとは自分で広さ等を考える必要はありません。
「何を収納するか」を担当と意思疎通しておけば、ビルダー側がそれを汲み取り、収納の使い方も含め提案をしてもらえます。
注文住宅のメリットを活かし、できるだけ過不足ない収納計画を立てたいですね。
シューズクロークの魅力と使い方のアイデア
一覧性の高さ、玄関位置という収納スペースだからこそ、多様なモノを収納したくなるのがシューズクロークの魅力です。
シューズクロークの収納量はどれくらいあるのか?
どんな収納スペースも、容積とイコールにはなりません。
クローク内のスペーシングが重要です。
スペーシングで用途を拡張することで空間の利便性がグッと上がります。
使い方のアイデアはこのようなものがあります。
(左:ウォークインタイプの可動棚 中:ウォークスルータイプ 上下で幅を変えた棚 右:古材を利用したベンチ)
・壁上部には棚やラックを設置し、下部には靴箱や引き出しを配置
・棚板の高さを収納物毎に細かく決めておくor「可動棚」にする
・フックを設置し、サンダル・長靴等は掛けられるようにする
・姿見の鏡を設置し、身だしなみを整える
・ベンチを置くことで、脱ぎ履きをラクに
・壁埋め込み型ポストを設置し、配達物の受け取りをラクに
いろいろ工夫がありますので、気になるアイデアについては調べてみてください。
靴箱とクロークの併用
(🔗家族の森施工事例より)
ここまで「靴箱orクローク」で話を進めてきましたが、靴箱とクロークの併用もあります。
「靴は靴箱に、その他必要なモノはクロークに、趣味は外に」ということです。
『靴は少ないけど、独立した玄関収納にいろいろ入れたい』『けどそんなに大きなスペースは要らない』という方は、靴箱クローク併用型がいいでしょう。
こちらの玄関床は無垢の吉野桧を使っています。
「靴箱も造作して、吉野桧で統一しませんか?」と提案し、採用していただきました。
桧はフィトンチッドの含有率が高く防臭や調湿効果が高く評価され、チップ等も販売されていますが、この靴箱は全体が桧そのもの。
デザインも実感も自然の木を感じられる、爽やかな玄関に仕上がっています。
まとめ
・シューズクロークに収納するものは予め決めてみる
・目隠しは特徴を理解した上で採用する
・クローク設置、スペーシングの工夫は様々。Instagram等を参考に設置アイテムを決める
・湿気対策、臭い対策を忘れずに
・靴箱とクロークどちらかで完結できるか、共存させるかは用途次第
靴箱かシューズクロークかといったスペースありきで考えるのではなく、演繹的に収納について考え、必要な収納場所を想定してみる。
そうすれば、クロークひとつのスペースだけで完結させずとも、家全体、暮らし方全体で見た時にいいデザインに収まっていきます。
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